賃貸物件を探すときに「初期費用って安くできるの?」と気になる人は多いでしょう。結論から言うと、基本的に安くなります。ただし、交渉できる項目・できない項目が存在します。
項目をしっかりと見極めることで、良い業者と悪い業者の区別もつけることができます。
繁忙期は交渉が難しい
不動産業界の繁忙期は2月〜4月。新入学や転勤に伴う引っ越し需要が集中し、良い物件ほど早い者勝ちで埋まっていきます。この時期は「放っておいても契約が取れる」ため、交渉に応じてもらえる余地は小さくなります。
- 2月・3月:学生や新社会人の契約が多い。
- 4月:転勤や新生活で物件需要がピーク。
このタイミングでやみくもに「家賃を下げてほしい」「初期費用を減らしてほしい」と交渉しても、ほとんど通らないケースが多いです。
交渉できる項目・できない項目
交渉が難しい項目
- 家賃
- 敷金・礼金
- 保証会社の利用料
- 鍵交換代
これらはオーナーや管理会社が直接設定している項目のため、繁忙期や閑散期にかかわらず原則として交渉は難しいです。
例外として
・長期で空室状態
・オーナーが早く入居者を入れたがっている
等の特殊事情があれば交渉の余地があります。
交渉しやすい項目
仲介業者が独自に追加している費用は交渉の余地があります。
- 消火器代
- 消毒代
- 仲介手数料
- その他「仲介業者が任意で設定している項目」
これらは管理会社ではなく仲介業者が上乗せしているケースが多く、依頼すれば削除してもらえる可能性があります。というより、快く削ってくれる業者やそもそも最初から上乗せしてこない業者を選ぶべきです。後述しますが、削らない業者とは付き合わないようにしましょう。
ここでクイズです。
2つの物件の実際の見積書を掲載いたします。4月半ばにとった見積もりです。
どれが仲介業者の上乗せ分で交渉できる項目でしょうか。


正解は〇がついている項目です。


非常に見づらくすみません。「消火器代」や「抗菌」「消毒」といった項目です。
※まれに管理会社が設定していて削れない場合あり。
1枚目の見積もりを出してきた業者に削れるか確認したところ、一切削れないとの回答。
2枚目の業者は快く削ってくれました。
その後、別の業者に1枚目の物件の見積もりを出してもらうと全て削られた状態の見積もりが出てきました。
仲介業者が追加している(削れる)項目の見分け方
それではどのように削れる項目を見分けるのでしょうか。
直接仲介業者に尋ねて教えてくれる場合もありますが、信用ならないので確実に調べましょう。
・ホームズやスーモで同じ物件の情報を見比べる
同じ物件をA社,B社,C社のようにいくつかの仲介業者が紹介している場合が多いです。
全ての業者が共通して記載している費用は削れない項目、逆に共通していない項目は削れる項目です。
・相見積もりを取る
どこでもいいです。いくつかの会社に見積依頼を出しましょう。3社くらいが目安です。
ここでも共通した費用を記載してきますので、それが必須の費用となります。
仲介業者が追加した項目は必ず削れるのか
仲介業者が追加した費用は必ず削れるのか?
仲介業者が追加した費用は、必ず削れるとは限りません。なぜなら、賃貸契約は「契約自由」の原則に基づいており、交渉をしても「削れません」と断られることもあるからです。繁忙期であればその傾向が顕著となります。
そのような場合に有効なのが、他の仲介業者に見積もりを取ることです。同じ物件でも複数の業者が取り扱えるケースは多く、提示される条件が異なることは珍しくありません。削れない(削らない)業者にこだわる必要はなく、むしろ勝手に追加している費用を削らない業者は他のサービスも不親切なことが多いため、早めに切り上げるのがおすすめです。
相見積もりを取った上でどの業者も上乗せしてきた場合は「それを払ってでもその物件に住みたいのか」を基準に契約をするか決定しましょう。
まとめ
賃貸物件には「この時期なら必ず安い」という契約時期は存在しません。ただし、長期間空室の物件では家賃が下がることもあり、繁忙期を避ければ初期費用の交渉がしやすくなります。
交渉が難しいのは家賃・敷金・礼金・保証会社の利用料・鍵交換代。一方で、仲介業者が独自に追加している消火器代・消毒代・仲介手数料などは削れる可能性があるため、見積もりを比較して確認することが重要です。
同じ物件でも仲介業者ごとに提示条件が異なり、初期費用に数万円の差が出ることは珍しくありません。削れない業者にこだわらず、複数の業者に相見積もりを取ることで、より納得できる条件で契約できる可能性が高まります。
「家賃そのものは動かせなくても、仲介業者が追加した費用は見直せる余地がある」という意識を持って、冷静に比較・交渉することが大切です。


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